ひかりさんは聞こえない

主婦。そして難聴者。

私だけ聞こえなくて、生きにくい。

まずある難聴者の日常を。

軽度難聴者の女性です。
仕事は接客業。受付をしています。
とても忙しい職場だけど、やりがいはあるので頑張って仕事をしています。

彼女は努力家で勉強も怠りません。職業に有利な資格も勤務しながら取得しています。
聞こえないから仕事ができないと、思われたくないようです。
それなりのプライドも持っています。

職場の人のとコミュニケーションは一見普通に取れています。
手話はなく、健常者と変わらない様子。

忙しい時期、同僚が、他に電話を取れる人がいないとき、近くにいた難聴の彼女に頼みました。
他に電話に出られる人がいなかったので、待たせてはいけないと彼女は電話を取ります。
相手の声は、聞きやすい話し方をする人だったので、なんとか取り次ぐことができました。

それを見た同僚は、電話ができるんだと驚きますが、これからは彼女にも電話を取るようにお願いします。
たまたま聞きやすい声の人だったので、今回は大丈夫でしたが、聞きにくい人に当たったら会話が成り立ちません。
彼女は断りますが、聞きにくい人だったら代わってあげるからと同僚は頼みます。
とても忙しい職場なので、自分だけ電話を取らないのは悪いと思った彼女は、了承します。

しかし、代わって欲しい時に必ず人がいるとは限りませんよね。
彼女は電話を取るたびにビクビクして、ストレスを溜めていく毎日になりました。
(これは、彼女の日常生活で、ほんの一例です。)

どうしたらいいの?

一見聞くと、断れば良くない?って思うんですよね。

でも自分が他の人よりできないことがある分、同僚に負担をかけると考えてしまう難聴者もいるのです。特に軽度の難聴者は。

広く考えると、結果的にお客様に迷惑をかけるんだから、聞こえづらい相手に当たる可能性もあるなら、キッパリと断り、他の仕事で頑張る方が正解だと思うんだけどね。

彼女曰く、「全く聞こえないわけじゃないから」だそうです。
この場合、職場が聞こえのことをもう少し理解していたら、仕事の責任を持ってもっと上手くやってくれたんじゃないかなと思う。

でも、人は聞こえない人と関わる事自体が多くはないので、知らないんですよね。
そこで難聴者自身が、「却って迷惑をかけるので、電話以外で頑張らせていただきます!」とでも言えればいいんだけど、迷惑かけちゃうから、忙しそうだから、全く電話できないわけじゃないから、など理由をつけて無理をしてしまう。

どんな人が生きにくいのか?

自分軸で生きるか。
他人軸で生きるか。


これかなと思います。
(本記事は、難聴者をテーマにしたブログなので、それ含みで書いています。)

何も自分勝手に生きるという意味ではなく。
他人軸で生きていると、周りに振り回されていくので大変ストレスが溜まります。
ストレスが溜まっていくのに、人の顔色や言動、環境に合わせてしまう。
疲れているのにもっともっと自分が努力しなくちゃと頑張ってしまう

私の友人が、他人軸で生きている人で、よく話をするたびに辛くなる。
こうしてみたら?
上司に話してみたら?
そう言っても、長年他人軸で生きてきて、しみついた考え方や感じ方を変えるのは簡単じゃないんだなと思います。

今は聴覚障害者も、SNSYouTubeなどで発信をしている人も増えてきて、だんだんグローバル化してきていますね。
私たち難聴者も聞こえないことを堂々と表現し、健常者に対して「聞こえない人と接する機会を提供しているんだ」くらいの気持ちで人と関わって行ってもいいなと思います。

とりあえず一回、難聴者が集まる場に参加してみませんか?
あなたに似た人もいるし、いろいろな人がいます。
聞こえない人ってこんなにいるの?! とびっくりするかも知れません。
でもいい影響は受けられると思いますよ。

時間はかかっても、良い方に向けばいいなと思います。

ちなみに今、その難聴の女性は手話サークルに通い始めました。
今、毎週通っているようです。
手話よりも、交流を楽しんでいるようですが、今度は、「私は聞こえないんだから手話を覚えなくちゃ」と頑張っている。
おいおい、友人よ。
「しなくちゃ」じゃなくて、楽しんでくださいよ。

本当に身に染み付いた考え方捉え方というのは、しつこいですね。
どうか、楽しめるようになりますように。