耳が聞こえない人って、どうして発音がバラバラなの?
タイトルの通り、昔ずっと不思議に思っていることがあった。
「難聴者って全く聞こえないわけじゃないのに、なんで発音がキレイじゃないんだろう?」
そう思っていた。
私は、通常は健常者に囲まれて生きている。
ごくたまに難聴者やろう者に会うこともあるけど、いつもは健常者のみである。
難聴者って、耳だけで聞くことは難しいけど。
- 補聴器
- 口話(口の形を読んで内容を理解する)
(もちろん個人差はあるけど)主にこれらの助けを得ながら、日常で会話をしたりしている。
私も、人の声を聞いて、自分の声も自分の耳と補聴器で聞きながら話している。
それなのに発音が不鮮明。
聴覚に障害があると、正確に発音することが難しい。
でも当人は、自分の声を聞きながら話しているわけよ。
わざと不鮮明な発音をしているわけじゃないのよ。
それなのにどうして、綺麗に発音できていないんだろう?
と不思議だった。
聞こえないといっても、補聴器を通して周りの人の声と同じように、自分の声も発声しているつもりなのに。
でも難聴者同士で会話すると、発音が健常者とは違うなと気づく。
やっぱり明らかに、健常者のようには話せていない。
と言うことは、私の声も他の難聴者の耳には違和感を感じるのだろうと考えたこともある。
どうしてそうなるんだろうと思っていた。
それに対して、納得できる答えを得る機会があった。
ある聴覚障害者関連の活動をしている人に、そんな話をしたの。
その彼が言うには、「聞こえていないから。」だと。
聞こえていないのは分かっているよ!
そう思ったね。
でもよくよく聞いてみると違ったの。
普段自分が思っている「聞こえない」と彼の言う「聞こえない」の意味が違っていた。
どう言うことかと混乱したけど、教えてくれた。
例えばある難聴者は母を呼ぶ時に、
「おかあさん」ではなく「おああさん。」
と発音している。
そう。不鮮明な発音になってしまう。
「おああさん。」確かに聴覚障害者の発音って感じね、と思った。
どう言うことかと言うと、その難聴者は、「K」の部分が聞こえない。
つまり、OKAASAN(おかあさん)ではなく「K」が聞こえないから、「O?AASAN」になる。
と言うのだ。
だからその難聴者は、健常者の声も「おかあさん」と聞いているつもりが、「おああさん」と聞こえている。
その上で、健常者と同じように「おかあさん」と発言しているつもりなのだ。
ということらしい。ちょっとややこしいね。
でも、ストンと胸に落ちたの。
ああ、そういうことなのか、と。
これは指摘されないと、わからないわと。
すごく納得したの。
ある日テレビで、色盲の障害を持つ人のドキュメント番組をみた時。
「本当の色は多分分かっていないんだけど、僕にはその色が赤なんだ。」
って言ってたの。
あ。
こう言うことか。
って気づきを得た。
聞こえないって、単純に音が小さかったり、聞きづらかったりとかで締め括ることはできないんだなって。